保存の優等生ビン・缶の進化・歴史について

缶と瓶

開発期の商品包装において、液体を含む内容の個包装と運搬は最難関だったに違いないものです。密閉性や耐圧性を兼ね備えたもの、いかに簡単に開封できるか、それら条件を満たし、決して高価になってはいけません。あくまで商品は内容なのですから。

現在も液体の個包装に使われ続けているビン、缶について、パッケージデザインの歴史を眺めてみましょう。

ビン入りの懐かしい飲料と言うと。ラムネを思い出します。うっすらとしたグリーンのガラスの中に透明な液体が入っています。そして開封の方法がまた楽しい!専用の道具を載せ、パチン!とたたきます。するとシュワーッと泡立ち、ボロボロ落ちて行きます。残った液体が、清涼感を濃縮させたような「ラムネ」です。早く言うと炭酸を溶かした砂糖水です。現在からすれば、大した味でもなかったのですが、素晴らしい演出になっている開封方法も含め、当時は「晴れの日」の飲み物だったのです。その記憶が忘れられない方によって、現在も支持をされているラムネです。当時と変わらない方法で飲むことが出来ます。

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専用の容器はちょっと変わった構造をしているのが特徴です。様々な工夫を一身にまとっている、とも言えるでしょう。

ビンの中にはあらかじめ、ガラス玉が入れられています。まだガラスが柔らかいうちにガラス玉を入れ、口をすぼめておきます。このガラス玉はA玉です。おもちゃとして販売されるのがB玉、ラムネに使えない粗悪品をそう呼びました。その中へ飲料を充填します。これは必ず炭酸飲料でなければなりません。そしてビンを上下ひっくり返すと・・・ガラス玉がポロン、と口へ移動、炭酸の圧力によって押し上げられ、しっかりと密封される、と言う塩梅です。お見事!

現在はビンの口に加工がされており、より密閉性が高まったので、炭酸が抜けてしまうことはありませんが、昔はお店の方がパチン!と開封しても泡が吹かない場合もあったそうです。「あ、これはダメな奴だ」とか何とか言い、別なものを開けてくれることもあったとか…。ガラスとガラスの組み合わせでは、うまく密閉されないこともあったのですね。容器はお店に返却され、繰り返し飲料を充填して使っていました。「ダメな奴」も「込み」のラムネ瓶だったということですね。

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牛乳、コーラ、ビールなど、愛飲者が多く、容器を使いまわす頻度が高いものに多用された、と言う印象が強いガラスビン。宴会場などでは今も活躍しています。容器を回収して、衛生的に使いまわすことができる、大変優秀なパッケージですね!

 

缶について

さて缶はいかがでしょうか。こちら、ナポレオンの時代から使われています。

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ガラスは当時すでに容器として使われていました。便利で殺菌もでき、衛生面も申し分ありません。が、なにしろ壊れやすいものです。ナポレオンが求めるものではありませんでした。ガラスはちょっとした衝撃ですぐに割れてしまいます。そこで発明されたのが缶詰でした。

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しかし当時はまだ技術が未発達で、中身が発酵して爆発しちゃったり、密閉するために使う鉛で中毒になっちゃったり、挙句に開封するためにナイフでこじ開けるしかなく、イラッと来た軍人さんなど、ピストルで撃ちぬいた、なんてこともあったそうです。今や「缶切り」さえ不要、タブを引っ張って「パッカン!」簡単に開けることが出来ますが、200年前は大変な思いをして食べていたんですね。

19世紀末には内容の幅がぐんと広がり、今でもおなじみのスープの素やフルーツの蜜煮なども作られるようになりました。手軽、と言うほど安価ではなく、今とは違って裕福な方々のステータスシンボルとして、ピクニックのメニューになったりしたようです。持ち運びには最適、良いアイデアです。

 

缶について2

ジュースやお茶など、飲み物も忘れてはいけません。プルタブ式、ステイオンタブ式と言う開封の仕組みを使って、安全に開けて飲むことが出来ます。開けやすく、こぼしにくく、飲みやすく、工夫を凝らしたデザインです。特別に何か道具が必要なわけでもなく、手で簡単に開けることが出来ます。現在の使いやすいデザインは、使い終わった後の「ゴミ」を考えた際にも機能を発揮します。本体から切り離されるものがなく、一体化したまま使い終えることで、分別回収をより簡単にしたのです。

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ペットボトルにとって代わられるまでは、自動販売機の飲料のすべてはこう言った缶入りでした。現在も、温かく飲みたいコーヒー、お茶、甘酒やスープの自動販売機には、缶が多く使われています。寒い冬に、懐炉代わりに手に持って「あったかい・・・」と暖をとるのに、ピッタリのサイズなのはどうしてでしょうか。不思議ですね。

優れたデザインには理由があります。機能には美しさが伴う不思議。それがデザインの面白い部分だと思います。

道具とは、そうなるように作らねばなりません。それがデザインと言うもの、長く愛されるものには何らかの理由があり、そこにはデザイナーの工夫が息を凝らして潜んでいるのかも知れません。じーっと見てみると、面白い発見をすることがあります。

 


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